
宿根草を育てていると、寒さや生育サイクルの影響で、地上部が枯れたような姿になることがあります。
葉や茎が茶色くなり、「このままで大丈夫?」「切ったほうがいいの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
ですが、地上部が枯れて見えても、株自体は元気に生きているケースがほとんどです。
この記事では、宿根草の基本的な考え方と、枯れたときの正しい対処方法をわかりやすくご紹介します。

宿根草と多年草の違いを知っておこう
「宿根草」と「多年草」は、どちらも毎年花を楽しめる植物ですが、生育の仕方に違いがあります。
多年草
一年で枯れず、何年も育ち続ける植物の総称。
その中には、
- 一年中葉をつけているタイプ(常緑多年草)
- 一時的に地上部が枯れるタイプ
があります。
宿根草
多年草の中でも、
- 地上部(葉・茎)は一度枯れる
- 地下の根は生きていて、次の生育期に再び芽を出す
という性質をもつ植物を指します。
つまり、地上部が枯れる=枯死ではないという点が、宿根草を育てるうえでとても大切なポイントです。
枯れたように見える株元、その正体は?
地上部が枯れこんだ株元をよく見ると、
茶色い枯れ葉の間に、小さな芽や膨らみが見えることがあります。
これは、次の生育期に伸びてくる新芽です。
また、土中の根もすべてが枯れているわけではなく、白くしっかりした根が残っていれば問題ありません。
見た目だけで判断せず、「中は生きている」という前提で管理することが大切です。
枯れた葉や茎は切る?切らない?

基本の考え方:切らない方がおすすめ
枯れた葉や茎は見た目が気になりますが、実は重要な役割を果たしています。
- 霜や寒さから新芽を守る
- 自然な保温材の役割をする
もし地上部を早く切ってしまうと、新芽が直接ダメージを受け、生育が遅れたり、芽が傷んでしまったりすることがあります。

そのため、特に耐寒性がそれほど強くない宿根草は、枯れた状態のまま残す方が安心です。
また、枯れ姿もナチュラルガーデンでは季節の表情として楽しむことができます。
切った方がよいケースもあります
以下のような場合は、例外的に切り戻しを行いましょう。
- 枯れた茎や葉にカイガラムシなどの害虫が付いている
- 病気の兆候が見られる
害虫が残ったままだと、新芽が動き出したタイミングで被害が広がることがあります。
この場合は、株元を確認しながら、思い切って切り取ることが大切です。

また、非常に耐寒性の強い植物であれば、地上部を切っても問題ない場合もあります。
ただし、寒さに弱い品種では、切った後にマルチングなどで保護すると安心です。
春先になったら、枯れ葉は整理する
枯れ葉を残しておくのがよいのは、あくまで休眠期までです。
気温が上がり、新芽がしっかり動き出す頃になると、
- 枯れ葉が病気の原因になる
- 新芽に光が当たりにくくなる
といったデメリットが出てきます。
このタイミングでは、株元を確認しながら枯れた部分を整理し、新芽に光を当てることで、健やかな生育につながります。
よく見られる宿根草の例
以下のような植物は、地上部が枯れやすい宿根草の代表例です。
- カンパニュラ
- サルビア
- ルドベキア
- フロックス
- エキナセア
これらも「枯れた=終わり」ではありません。正しく管理すれば、また元気に育ってくれます。
今回ご紹介した内容は、YouTubeチャンネル「花農家ゆうきの園芸ガーデニングチャンネル」でも、動画で詳しく解説されています。ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
- 宿根草は地上部が枯れていても、根が生きていれば問題ありません。
- 基本は枯れた葉や茎も切らずに残し、自然な保温材として活かすようにしましょう。
- 春先になったら、枯れ葉の整理を行いましょう。
