
オリーブとは

銀緑色の細長い葉が風にそよぐ姿が美しく、地中海の風景を思わせるオリーブは、庭やベランダにナチュラルで洗練された雰囲気を添えてくれる樹木です。モクセイ科の常緑樹で、原産地は地中海沿岸から西アジア。日本でも温暖で日当たりの良い地域なら育てやすく、近年は観葉植物としても人気が高まっています。成長すると高さは3〜10mほどになりますが、鉢植えにすればコンパクトに管理できるため、庭植えはもちろん、ベランダのコンテナ栽培にも適しています。
春から初夏にかけて、白くて小さな花が咲き、その後に楕円形の実が付きます。実は熟すと黒紫色になり、収穫して塩漬けにしたり、オイルに加工したりして楽しめるのも魅力のひとつ。花や実を観賞するだけでなく、実際に食卓で活用できる点も、オリーブを育てる楽しみにつながります。ただし実をつけるには異なる品種を2本以上植える必要がある場合もあるため、購入時に確認が必要です。
育てるうえでは、風通しと日当たりの良い場所を選びましょう。根が深く張るため地植えにすると大きく育ちますが、鉢植えでは土の乾燥に注意し、こまめな水やりが必要です。耐寒性はあるものの、寒冷地では冬場の保護が必要です。また、成長すると幹が太くなるため、ある程度のスペースも確保しておきましょう。
代表的なオリーブの品種をいくつかご紹介します。
■ネバディロ・ブランコ
自家受粉しやすく実付きも良いのが特徴です。枝葉がよく茂るため生垣や目隠しにも適しています。耐病性が高く成長も早く比較的育てやすいため初心者にもおすすめです。
■ルッカ
小ぶりな葉と樹形が美しく、観賞価値が高い品種。寒さや病気に強く、自家結実性を持つため、比較的育てやすいです。
■マンザニロ
リンゴのような形をした果実は大きく肉厚で柔らかく、浅漬けや新漬けに適しています。葉は小さく濃い緑で、枝が横に広がります。育てやすく、初心者にもおすすめです。
■ひなかぜ
日本の気候に強く育てやすい品種で、生長が早く葉の緑のコントラストが美しいのが特徴。観賞用やシンボルツリーに適しています。
オリーブ・ひなかぜについては、こちらのブログで詳しくご紹介しています。
園芸店やホームセンターで苗を購入する際には、幹がしっかりしていて葉色が健康的なものを選びましょう。分枝のバランスが良く、根元がぐらつかない苗が、元気に育ちやすい証です。
ガーデンパーティではオリーブを取り扱っていますので、興味を持たれた方はこちらからご購入いただけます。
オリーブの基本情報
名前 | オリーブ |
学名 | Olea europaea |
科・属名 | モクセイ科 / オリーブ属 |
英名 | Olive |
和名 | オリーブ |
分類 | 中高木 / 常緑 |
開花時期 | 6月 |
お勧め植え付け時期 | 3月~4月 |
原産地 | 小アジア |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 普通 |
オリーブの栽培カレンダー

オリーブの基本的な育て方
植え付け
オリーブは水はけと通気性の良い土を好みます。市販の草花用培養土に川砂を2~3割混ぜると適しています。酸性土を嫌うため、地植えの場合は苦土石灰を混ぜて中和しておきましょう。日当たりと風通しの良い場所が理想で、庭植えでも鉢植えでも育てられますが、鉢植えの方が管理しやすく初心者にはおすすめです。根が深く広がるため、植え付け時は十分なスペースを確保しましょう。
植え替え
鉢植えのオリーブは、2〜3年に一度を目安に植え替えが必要です。根詰まりを起こすと生育が悪くなるため、春か秋の気候が穏やかな時期に行います。根鉢を軽く崩して古い根を整理し、新しい培養土に植え替えてください。根を傷つけすぎないよう丁寧に扱い、植え替え後はしばらく直射日光を避けて管理すると安心です。
日当たり・置き場所
日当たりがよい場所が適しています。1日に6時間以上の日光が当たる場所に置くことで、健康な葉や実のつきに繋がります。また風通しの良い場所に置くことで病害虫の発生も抑えられます。鉢植えの場合は、夏の強光を避けつつも明るい場所を選びましょう。室内に置く場合でも、できるだけ窓際の明るい場所を選ぶことが大切です。
水やり
オリーブは乾燥に強い反面、過湿を嫌います。庭植えの場合は根付いた後は降雨に任せて大丈夫ですが、極端な乾燥が続く時は水やりが必要です。鉢植えでは土の表面がしっかり乾いてからたっぷりと水を与えましょう。特に夏場は乾きやすいので注意してください。
肥料
2月と10月の年2回、緩効性の肥料を与えましょう。液体肥料を使う場合は、春から秋にかけて月1~2回の頻度で施すと良いでしょう。
病害虫
オリーブは比較的病害虫に強い樹木ですが、夏場の高温多湿時にはオリーブアナアキゾウムシやハマキムシなどが発生することがあります。害虫は見つけ次第、薬剤散布や手で取り除いて対処してください。風通しを良くすることで害虫の予防につながります。
また、梅雨どきに新梢先端の若い枝が枯れてしまう梢枯(しょうこ)病が発生することがあります。
剪定
オリーブは樹形を整えるために、毎年剪定が必要です。適期は3月から4月と、9月から10月頃で、混み合っている枝や内側に向かって伸びている枝を間引き、風通しと日当たりを確保しましょう。
夏越し
高温に強いオリーブですが、鉢植えの場合は土が乾きやすくなるため注意が必要です。直射日光が当たり続ける場所では葉焼けの原因にもなるため、風通しが良く明るい半日陰に移動させると安心です。水切れを防ぐために、朝か夕方の涼しい時間帯にたっぷりと水を与えましょう。
冬越し
耐寒性はありますが、寒冷地では鉢植えを室内や軒下に移動し、冷たい風や霜から守るようにします。地植えの場合でも株元に腐葉土などを敷いて防寒対策をしておくと安心です。冬は水やりの頻度は控えめにし、土が乾いてから与えるようにします。寒風に当たると葉が落ちることがあるので、風よけの工夫をしておくとよいでしょう。
増やし方
オリーブは挿し木で増やすのが一般的です。
挿し木
適期は5~6月頃で、新しく伸びた枝を10~15cmほど切り取り、葉を2~3枚残して下葉を取り除きます。切り口を湿らせ、挿し木用の土に植え付けた後は、明るい日陰で管理し、乾燥しないように注意しましょう。発根までには1~2ヶ月かかるため、気長に見守ることが大切です。
・オリーブの花言葉は?
オリーブの花言葉は「平和」「知恵」「勝利」などがあります。これは古代ギリシャやローマの神話に由来しており、オリーブの枝は平和の象徴として使われてきました。オリンピックの勝者にはオリーブの冠が贈られ、神々の贈り物として重んじられてきた歴史があります。
・オリーブは縁起が良い木?
オリーブは「幸せを呼ぶ木」「平和の象徴」として、縁起の良い木とされています。常緑で一年を通して美しい葉を保ち、長寿で生命力が強いことから、家庭の繁栄や安定を願って植えられることもあります。また、風水ではオリーブは“陽の気”を持つ植物とされ、玄関先に置くと運気を呼び込むとも言われています。こうした縁起の良さから新築祝いや開店祝いの贈り物としても人気が高い植物です。
・オリーブの実をならせるのに必要な条件は?
オリーブに実をつけさせるには、異なる品種を2本以上一緒に育てる「異品種交配」が必要です。同じ品種だけでは実がつきにくいため、開花時期が近い品種を選びましょう。風通しの良い場所に置いて受粉を助ける虫が来やすい環境を作ることも大切です。健康な枝葉を保つために、適度な剪定や肥料管理も忘れずに行いましょう。結実までは数年かかるため気長に楽しみながら育てましょう。
まとめ
- 日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。
- 定期的な剪定で樹形を維持しましょう。
- 鉢植えのオリーブは、2〜3年に一度を目安に植え替えましょう。