
アジサイとは

アジサイは、梅雨の季節を象徴する花木として、日本で古くから愛されてきたアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。雨に濡れた花がしっとりと輝く姿は、日本の風景に欠かせない存在といえるでしょう。
花と呼ばれる部分は実は萼(がく)で、小さな花が集まって大きな花房をつくります。色は青、紫、ピンク、白など多彩で、土壌の酸度によって花色が変わることも大きな魅力。ひと株の中でも咲き進むにつれて色が移ろい、まるで七変化のように表情を楽しむことができます。
草丈は品種によって1m前後から2m以上になるものまでさまざま。庭植えではボリュームある花姿を楽しめ、鉢植えなら玄関先やベランダを華やかに彩ってくれます。近年は品種改良も盛んで、涼しげな花姿のガクアジサイや華やかな西洋アジサイ、大輪で人気のアナベル、円錐状に小さな花を咲かせるノリウツギ、星型の八重咲きが印象的なダンスパーティーなど、個性豊かなアジサイが揃っています。選ぶ品種によって、和風にも洋風にもぴったり合わせられるのも魅力です。
アジサイの見頃は初夏で、花期が長く雨の日でも晴れの日でも美しい姿を見せてくれます。花が終わった後もドライフラワーのように色褪せて残り、長く観賞できるのも特徴です。
育て方は比較的やさしく、初心者にもおすすめ。日なたから半日陰の場所で育ち、乾燥を嫌うため、土が乾いたらしっかり水を与えるのがポイントです。また、毎年美しい花を咲かせるためには、花後に剪定を行い、翌年の花芽を守ってあげることが大切です。
庭のシンボルツリーとして植えてもよし、鉢植えで身近に楽しむのもよし。アジサイは四季の移ろいとともに多彩な表情を見せてくれる、長く付き合いたい花木です。ぜひ一度、お庭や玄関に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ガーデンパーティではアジサイを取り扱っていますので、興味を持たれた方はこちらからご購入いただけます。
アジサイの基本情報
名前 | アジサイ |
学名 | Hydrangea macrophylla |
科・属名 | アジサイ科 / アジサイ属(ハイドランジア属) |
英名 | Hydrangea |
和名 | アジサイ(紫陽花) |
分類 | 花木 |
開花時期 | 6月~8月 |
お勧め植え付け時期 | 11月~3月 |
原産地 | 日本 |
耐暑性 | やや弱い |
耐寒性 | 強い |
アジサイの栽培カレンダー

アジサイの基本的な育て方
植え付け
アジサイの植え付け適期は春または秋です。気温が安定している時期に植えることで根がしっかりと張り、翌年以降の生育がよくなります。
水はけがよく肥沃な土を好みますが、やや湿り気のある環境でも育つのが特徴です。鉢植えの場合は、鉢底に軽石を入れて通気性を確保し、赤玉土や腐葉土を混ぜた土に元肥を施してから植え付けましょう。地植えの場合は、ポットよりも一回り大きな穴を掘って、腐葉土をまぜあわせ、少し根鉢を崩してから苗を植え付けます。植え付け後は、どちらの場合もたっぷり水を与えましょう。
植え替え
アジサイは生育旺盛ですので、鉢植えで育てている場合、2〜3年に1回を目安に春先に植え替えを行いましょう。ひと回り大きな鉢に移し替えるか、根鉢の周囲を軽くほぐして土を新しくすると、再び元気な株に育ちます。
日当たり・置き場所
半日陰から日なたまで育ちますが、真夏の直射日光は葉焼けの原因になるため、午前中だけ日の当たる場所が理想です。風通しの良い場所を選ぶことで、病害虫の発生も防ぎやすくなります。
水やり
アジサイは乾燥に弱いため「乾かさないこと」が基本です。鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。庭植えでも乾燥が続く時期は水やりを忘れずに。特に開花期は水を多く必要とします。
肥料
植え付け時に緩効性の肥料を混ぜ込みます。また、花後のお礼肥(秋の新芽を大きく生長させ翌年の花付きを良くする)と休眠期の12月から2月の間に寒肥(翌年の株の生育を促す)を施しましょう。鉢植えでは、生育期に液体肥料を2週間に1回程度与えると花付きがよくなります。
病害虫
アジサイは丈夫で育てやすい一方、湿気が多い時期には「うどんこ病」などの病気が発生しやすくなります。病気にかかった葉を見つけたら、すぐに取り除き、感染が広がるのを防ぎましょう。
また、葉の裏に「アブラムシ」や「ハダニ」がつくこともあります。風通しをよくし、花後の剪定で株をすっきりさせると、病害虫の発生を防ぎやすくなります。
剪定(切り戻し)
アジサイは花後の剪定がとても大切です。翌年の花芽は夏に形成されるため、7月から8月までに花がらを切り、枝を整えましょう。花後の剪定は「花の茎から数えて2~3節目」にある健康な脇芽の上で行うのが基本です。脇芽の約2cm上を切ることで、その芽が翌年に花芽となり、美しい花を咲かせてくれます。元気な脇芽がしっかり確認できる場合は、さらに下で剪定しても問題ありません。秋以降の剪定は花芽を切り落としてしまう原因になるので注意が必要です。
夏越し
強い日差しを避け、水切れに注意しましょう。鉢植えは風通しの良い半日陰に移動して葉焼けや乾燥を防ぎ、土が乾いたらたっぷり水を与えましょう。
冬越し
アジサイは耐寒性があり、関東以西の平野部では屋外で冬越し可能です。落葉した枝はそのまま冬を越し、春に再び芽吹きます。寒冷地では根元に腐葉土や藁でマルチングをして保温すると安心です。鉢植えの場合は軒下や室内の明るい場所に移すとより安全です。
増やし方
アジサイは挿し木で増やすのが一般的です。
挿し木
梅雨時期の6〜7月がおすすめです。今年伸びた花芽のない健康な枝を10cmほど切り取って下葉を取り除き、水に1時間ほど挿した後、清潔な挿し木用の土に挿します。明るい日陰で土が乾かないよう管理すれば、1か月程度で発根します(育苗ポットの底から根が伸びてきたり、枝の付け根から新芽が出ていれば、発根のサインです)。発根後、培養土を入れた3~5号程度の鉢に植え替え、十分に水を与えてください。鉢上げ後の苗は、直射日光を避け、明るい日陰でしばらく管理したら、徐々に日当たりの良い場所へ移動させて、水切れにならないように管理しましょう。
挿し木や挿し芽で増やした登録品種苗を、無断で人に譲ったり売ったりすることは「種苗法」という法律で禁止されています。増やした苗は人に譲ったりせず、自宅で楽しむだけにしましょう。
・植えっぱなしで大丈夫ですか?
アジサイは基本的に植えっぱなしで毎年花を楽しめる丈夫な植物です。特に地植えにすると根がしっかり張り、毎年美しく開花してくれます。ただし鉢植えの場合は、根がいっぱいになって窮屈になるため、2〜3年に一度は植え替えをしてあげると元気に育ちます。
・寿命はどれぐらいですか?
アジサイは長寿の植物で、条件が合えば数十年にわたって花を咲かせ続けます。古い株でも適切な剪定や管理を行えば、毎年見事に開花してくれるのが魅力です。庭木としてシンボルツリーのように長く楽しむことも可能です。
・翌年花が咲かない場合、どんな理由がありますか?
剪定のタイミングや方法、日当たりや栄養状態など様々な要因が考えられます。
詳しくは育て方ブログ「アジサイが翌年咲かない理由」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
⇒育て方ブログ「アジサイが翌年咲かない理由」はこちらから
まとめ
- 夏は西日が当たらない半日陰で風通し良く育てましょう。
- 水切れに注意して、土が乾かないようにこまめに水やりをしましょう。
- 花が終わったら2〜3節目の脇芽の上で剪定し、翌年の花芽を守りましょう。