ポピーの育て方・基本情報・まとめ

ポピーの育て方

ポピーとは

ポピーの育て方

ポピーは、華やかな花が風にゆらゆらと揺れる姿が可愛らしく、春の庭などによく見られるケシ科ケシ属の植物です。花のサイズが大きめで鮮やかな色合いのものが多く、広い畑などに群生させると、可愛らしい「お花畑」の景色が楽しめます。

ケシ科ケシ属の植物には、観賞用のポピーとよく似ていますが栽培が禁止されている種類があります。日本で園芸用として栽培されているものには、1年草のアイスランドポピー、シャーレーポピーの他に、多年草のオリエンタルポピーなどがあります。高温多湿に弱い性質があり、多年草でも温暖な地域では一年草として扱われることがあります。また、アイスランドポピーはシベリアヒナゲシ、シャーレーポピーはヒナゲシやグビジンソウ、オリエンタルポピーはオニゲシとも呼ばれ、種類によっては一重咲きだけでなく、八重咲きやフリンジ咲きなどもあります。

栽培に適した場所に植え付ければ、一年でたくさんの花が次から次へと開花します。草丈は30〜80cmで、花は花茎を長く伸ばした頂部に咲くため株元が寂しくなりがちですが、手前に草丈の低い植物を合わせると華やかな印象になります。鉢植えにしたり、花壇の中段くらいに数株まとめて植え付けしたりして楽しむことができます。また切り花にして楽しむことができるものもあり、室内に飾って楽しむこともできます。

店頭で苗を購入する際は、葉の色がきれいで傷みがない元気な苗を選ぶようにするとよいでしょう。

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ポピーの基本情報 

名前ポピー
学名Papaver rhoeas
科・属名ケシ科ケシ属
英名Corn poppy
和名ヒナゲシ(雛罌粟)
分類一年草・多年草(品種による)
開花時期4月~7月
お勧め植え付け時期1月~3月中旬
販売時期1~4月
原産地トルコ、イランなどの西南アジア、南ヨーロッパなど
耐暑性弱い
耐暑性強い

ポピーの栽培カレンダー 

ポピーの栽培カレンダー

ポピーの基本的な育て方

植え付け 

地植えにする場合、日当たりと水はけ、風通しのよい場所に植え付けます。水はけのよい土に、植え付けの1〜2週間前に前に腐葉土や堆肥などをいれてよく耕し、土づくりをしておくのがおすすめです。多湿を苦手としますので、土を盛って周囲よりも高くしておくのもよいでしょう。水はけをよくしたい時は、川砂やパーライトなどの土壌改良材をまぜます。また、酸性に傾いた土壌を嫌いますので、植え付けの3〜4週間ぐらい前に苦土石灰を混ぜて酸度調整をしてください。

植え付け場所に苗よりも一回り大きなを穴を掘って根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20cmほど間隔をあけましょう。植え付け後は、たっぷりと水やりをしてください。

オリエンタルポピーは鉢植えもできますが、本来の花の大きさやボリューム感が出ないので、地植えにするのがおすすめです。数年間は植えたままにして株を大きく育てましょう。

鉢植えで育てる場合は、市販の草花用の培養土を利用すると便利です。苗を鉢に仮置きして高さを決めたら根鉢を崩さずに植え付けます。土は鉢の上縁から2〜3cmほど下の高さまでにしてウォータースペースをもうけましょう。植え付け後は、鉢底からたっぷりと流れ出すまで十分に水を与えてください。他の植物と一緒に大きな鉢に寄せ植えにすることも可能です。

植え替え 

1年草タイプは夏前に花が終わって枯れてしまいますので、植え替えの必要はありません。多年草のオリエンタルポピーは、太い根が地中深く伸びますので数年間は植えたままでもよいですが、何年も同じ土で育てていると、土が硬くなったり水はけが悪くなったりして生育が悪くなってしまうことがあります。そのような場合は、土壌改良を行って植え直しましょう。

日当たり・置き場所 

日当たりと水はけ、風通しのよい場所で育てましょう。日陰で育てると、生育が停滞することもあるため注意が必要です。日照不足だと、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロと間延びしたりすることがありますので注意しましょう。

水やり 

庭植えでは、水やりほとんど不要です。

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、過湿にすると根腐れしやすくなるので、水のやりすぎには注意します。

肥料 

品種により、肥料を与える時期などが異なります。

多年草のオリエンタルポピーは、肥料分が多いと根腐れなどを起こし株が枯れやすくなります。秋の新葉が展開する時期に化成肥料や液体肥料を施し、気温が上昇する春以降には肥料分が残らないようにしておきます。

1年草のシャーレーポピーは、元肥として緩効性化成肥料を土に混ぜておきます。鉢植えのみ、花茎が伸びる春頃に追肥として液体肥料を施します。肥料が効きすぎると、倒れやすくなったり、花つきが悪くなったりしますので、少なめにするのがよいでしょう。

1年草のアイスランドポピーを春に花つき苗で購入した場合は、鉢や庭への定植時に緩効性肥料を置き肥します。種から育てた場合は、ポットへの移植時期(11月~12月)に元肥として、緩効性肥料を土に混ぜ、生育期の2月下旬~3月にも緩効性肥料を1回置き肥します。
液体肥料だけで育てる場合は、本葉3~4枚の頃か、ポットへの移植1週間後から開花期まで規定濃度に薄めたものを月に1~2回施しましょう。

病害虫

種類にもよりますが、苗立枯病、灰色かびが発生することがあります。春以降、雨が多くなると花や蕾、茎葉に灰色のカビが発生したら灰色かび病かもしれません。傷んだ葉や咲き終わった花がらは適宜摘み取るようにしましょう。
苗立枯病は、発芽して間もない幼苗に出ることがあります。日当たりのよい場所で、適度な水やりをすることで防ぐことができます。

また春以降、アブラムシやハモグリバエ(エカキムシ)が発生しやすくなります。アブラムシは風通しが悪いと発生しますので、見つけ次第、適用した殺虫剤で駆除します。 

花がら摘み 

種をつけさせない場合は、こまめに花のつけ根のところで摘み取りましょう。咲き終わった花は花茎ごと地際から切り取ると、株の勢いも保ちつつ、きれいな状態で開花が続きます。

夏越し 

1年草のポピーは夏越しはできず、夏前までに花が終わります。 多年草のオリエンタルポピーは休眠して夏越ししますが、暑さが苦手なのでマルチングなどで地温が上がらないように対策をしましょう。温暖地で育てる場合は、夏越しが難しいかもしれません。夏の間は、グラウンドカバーなどの草花で覆って株元に直射日光が当たらないようにしておくと株が長持ちします。涼しくなって秋に新葉が出てきたら、よく日に当てて肥料を施し株を太らせましょう。

冬越し 

冬の寒さには強いのですが、霜柱によって根が傷むことがあるので、バークチップなどで株元をマルチングしましょう。

増やし方 

一年草のポピーは種まきで増やすことができます。ただし、F1品種は採種した株と同じ花が咲かない場合があります。花がら摘みをせずに置いておくと種ができますので、花びらが落ちて実が膨らみ茶色くなってきたら種が採取できます。採取した種は乾燥させてから涼しい場所で保管します。オリエンタルポピーは種まきの他に、根伏せや株分けでも増やすことができます。

種まき

ポピーの種まき適期は、品種により異なりますが9月下旬〜10月頃です。ポピーは直根性の根を傷めると生育が悪くなるため、【直まき】か【ポットまき】にします。種はごく小さく、発芽の際に光を必要とする光好性種子のため、土をかぶせる必要はありません。

品種によっては、開花まで2~3年程度かかるものもあります。栄養系の品種では、種をまいても実らなかったり、元の花と違う花が咲いたりしますので、根伏せで増やすようにしましょう。

【直まき】

土づくりをしておいた場所に種をまきます。はす口のついたジョウロでやさしく水やりをして種が流れ出ないようにしましょう。発芽後は間引きながら育て、最終的に株同士の間隔を20cmほどあけます。密植させると蒸れたり病気にかかりやすくなったりしますので、風通しよく管理しましょう。

【ポットまき】

ポットに市販の草花用の培養土を入れて種を数粒ずつまきます。ジョウロで上から水やりをするよりも、水を張った容器などにポットを入れてポットの底から水を吸わせるようにすると種が流れ出ないのでおすすめです。発芽までは明るい半日陰で管理し、底から吸水させながら乾燥しないように管理します。発芽後は日当たりのよい場所で管理します。勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残します。本葉が7〜8枚ついたら花壇や鉢など、植え付けたい場所に植え付けます。


根伏せ

オリエンタルポピーは、根伏せでも増やすことができます。根伏せは、根を土に植えて発芽や発根させます。株分けと同様に10月~11月頃が適期です。鉛筆くらいの太さの根が利用しやすく、3~5cmの長さに切り取って、鉢やポットに2cmくらいの深さで横向きに伏せておきます。根を横に寝かせたら土を少しかぶせましょう。順調にいけば、発芽、発根します。葉が開いたらポットに植えて育苗し春になったら植えつけます。


株分け

多年草のオリエンタルポピーは、株分けで増やすことも可能ですが、株が小さいうちは株分けできません。植えてから数年たち、大きく育ったものを株分けしましょう。株分けの適期は10月~11月頃です。植え替えの際に作業をするのがおすすめです。手で株を分けるか、難しい場合はナイフなどを使って株分けしましょう。

育て方のポイントまとめ

  • 日当たりと風通し、水はけのよい場所で育てるようにしましょう。
  • 植え付ける際には根を傷つけないよう根をほぐさずに植え付けましょう。
  • 鉢植えの水やりは表面が乾いてからたっぷり与えますが、水のやりすぎには注意しましょう。