センペルビウムの育て方・基本情報・まとめ

センペルビウムの育て方

センペルビウムとは

センペルビウムの育て方

センペルビウム(またはセンペルビブム)は、主にヨーロッパ中部からロシアにかけての山岳地帯を原産とする多肉植物で、ラテン語で「(semper(いつも)、vivus(生きている)」という名のとおり、寒さや乾燥に強く、一年を通して美しい姿を楽しめる頼もしい植物です。
葉が密に重なって形成されるロゼットは、まるで花のように整った形で、種類によって色や質感が異なります。緑や赤、紫がかったものなど、季節や日光の当たり方によって色が深まり、特に秋から冬にかけては鮮やかに紅葉する品種も多くあります。

代表的な品種には、細かい白い糸をまとったような繊細な姿が人気の「巻絹(まきぎぬ)」、緑の葉の先端が赤く色づき、整ったロゼットが美しい「コンラン」、ブロンズがかった深い赤色が印象的で重厚感のある「ブロンコ」などがあります。どれも個性豊かで、並べて飾ると色や形の違いが際立ち、まるで宝石のように楽しめます。

センペルビウムは、子株をたくさん出して群生する性質があり、育てているうちに鉢いっぱいに広がっていく様子も魅力のひとつ。石を組んだロックガーデンや、浅めの鉢、ブリキ缶などに寄せ植えすると、まるで小さな高山植物の世界が広がるようです。乾燥に強く、屋外でも冬越しできるほど丈夫なので、ベランダガーデンやお庭のアクセントとしてもおすすめです。

また、センペルビウムは「永遠」「不死」という意味をもつことから、“ハウスリーク(家の守り神)”として古くからヨーロッパで親しまれてきました。屋根や石垣の上に植えられ、魔除けや家を守る植物として大切にされてきたという歴史もあります。
ただし、ロゼットの中心から花が咲いた株は、開花後にその株が枯れる性質があります(モノカルピック:一度きりの開花)。ですが、周囲に子株をたくさん残してから枯れるため、群生の美しさはそのまま保たれます。

手のひらサイズの可愛らしいロゼットが季節ごとに表情を変えるセンペルビウム。育てやすく、丈夫で、少しずつ株が増えていくのも嬉しいポイントです。お気に入りの器に植えて、あなただけの小さな多肉ガーデンを楽しんでみませんか?

ガーデンパーティでは、個性豊かなセンペルビウムを取り扱っています。丈夫で美しいロゼットたちを、ぜひお手元で育ててみてください。

センペルビウムの基本情報 

名前センペルビウム(センペルビブム)
学名Sempervivum
科・属名ベンケイソウ科 / センぺルビウム属
英名Houseleek、Hens and Chicks、Sempervivum
分類多肉植物
生育タイプ春秋型
開花時期春から夏(植物が成熟してから2年目以降に開花することがある)
お勧め植え付け時期春と秋
原産地ヨーロッパ、ロシア、コーカサス、中東、モロッコなど
耐暑性やや弱い(強い日差しには注意)
耐寒性やや強い(冬季は室内がおすすめ)

センペルビウムの栽培カレンダー

センペルビウムの栽培カレンダー

センペルビウムの基本的な育て方

植え付け

春や秋の気候が穏やかな時期が植え付けの適期です。水はけのよい多肉植物用培養土を使用し、鉢底には軽石を敷いて排水性を高めます。鉢植えが基本ですが、寒さに強いため、風通しのよい場所なら屋外での地植えも可能です。

植え替え

子株が増えて鉢が手狭になったり、株が混みあってきたりしたら植え替えましょう。2〜3年に1回、春または秋の成長期に行います。古い土を軽く落とし、枯れた株や根を整理してから、新しい土に植え直します。

日当たり・置き場所

日光を好み、よく日に当てるほど葉色が美しくなります。屋外では風通しのよい日なたに、室内では明るい窓辺に置きましょう。夏の強い直射日光は葉焼けを起こすことがあるため、真夏は半日陰で管理します。長雨や湿度の高い環境は苦手なので、水はけのよい場所で育てることが大切です。

水やり

春と秋の生育期は、土がしっかり乾いてから鉢底から流れるくらいたっぷり与えます。梅雨時期や夏は湿気がこもりやすいため、乾燥気味に管理しましょう。冬は休眠状態になり、水やりは月1〜2回程度で十分です。過湿は根腐れの原因になるため注意してください。

肥料

多肥を好まない植物です。春や秋の成長期に、薄めた液体肥料を月1回ほど与える程度で十分です。植え替えの際に緩効性肥料を混ぜておけば、追肥は不要です。

病害虫

風通しが悪いとカイガラムシやアブラムシが発生することがあります。見つけたら早めに取り除き、必要に応じて薬剤で対処しましょう。枯れた葉や花茎を放置すると病害虫の温床になるため、こまめに取り除いて清潔に保ちます。

切り戻し・花茎の整理

センペルビウムは、基本的に切り戻しの必要はありませんが、古い花茎や枯れた株は早めに取り除いてあげましょう。花を咲かせた株は役目を終えて枯れてしまいますが、伸びすぎた茎やランナーをカットすることで、株姿を整えたり、新しい株を増やしたりすることができます。

夏越し

高温多湿を苦手とするため、梅雨から夏は風通しのよい半日陰で管理します。雨ざらしにせず、涼しい時間帯に少量の水を与える程度にしましょう。

冬越し

センペルビウムは多肉植物の中でも特に耐寒性が高く、特別な対策は不要です。霜や雪があたっても問題ありません。水やりは控えめにして乾燥気味にします。

増やし方

センペルビウムは株分けや挿し芽で増やせます。

株分け

春から梅雨入り前が適期で、親株のまわりにできた子株を株分けして植え付けるだけでOKです。親株から根が出ている子株を切り離し、新しい土に植えつけます。植え付け後、しばらくは水を与えずに乾燥させることで、根が落ち着きやすくなります。

挿し芽

生育期の春か秋に、親株から地面を這うように水平に伸びる細長い茎の先にできた子株を切り取り、水はけの良い土に植え付けます。

センペルビウムの豆知識

花が咲いた株は枯れてしまうって本当?
本当です。センペルビウムは「一度だけ花を咲かせて枯れる」植物です。ただし、開花前にたくさんの子株を出すため、群生の美しさはそのまま楽しめます。         

屋外で一年中育てられますか?
寒さに非常に強く、霜や雪に耐えるほど丈夫です。屋外でも通年栽培が可能ですが、長雨や蒸れには注意が必要です。雨の当たらない場所で育てると、より元気に育ちます。

葉の色が変わってきたのはなぜ?
センペルビウムは、季節や日光の量によって葉色が変化します。特に秋冬には紅葉して赤や紫に染まることもあり、その色変わりが大きな魅力のひとつです。

まとめ

  • 日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。
  • 梅雨から夏にかけては雨の当たらない、風通しのよい半日陰になる場所で管理しましょう。
  • 花が咲いた株は枯れてしまいますので、花茎を早めに整理して、子株の生育を促しましょう。