ラベンダーとは
ラベンダーはヨーロッパの地中海沿岸の地域を原産とするシソ科の常緑低木で、ハーブの1種です。一般的には紫色の花と爽やかな芳香のあるハーブとして知られています。たくさん植えて群生させると一面が紫色の絨毯のようになり、風に漂う香りも同時に楽しむことができます。現在では紫色以外に、ピンクや白といった花色のラベンダーもあります。
ラベンダーにはリラックス効果や抗菌作用などがあり、ヨーロッパでは古くから薬草としても用いられて来ました。アロマオイルやハーブティー、ドライフラワーやポプリとしても楽しまれています。
ラベンダーには大きく分けて6つの系統があり、その系統ごとに、性質や特徴が異なりますので、植える場所の環境によっては、同じラベンダーでも、向き不向きがあります。
・アングスティフォリア系
耐寒性があるが、日本の高温多湿の夏には少し弱め。寒冷地での栽培が適している。香りが強めでドライフラワーによく使われている;イングリッシュラベンダー(コモンラベンダー)など
・ストエカス系
高温多湿には強いが、寒さには少し弱い。温暖な地域でも栽培しやすい。寒冷地では防寒対策をするのがよい。香りは控えめでウサギの耳のような花穂が特徴;フレンチラベンダー、アボンビューなど
・ラバンディン系
スパイクラベンダーとイングリッシュラベンダーの交配種。暑さや寒さには比較的強く、ラベンダーの中で比較的育てやすい。花穂が大きく美しい。初心者にも育てやすく、温暖な地域でも栽培がしやすい;ラベンダー・グロッソ、アラビアンナイトなど
・プテロストエカス系
切れ込みのあるレースのような葉が特徴で、耐寒性と香りは弱め。寒冷地での栽培にはあまり向かない;レースラベンダーなど
・デンタータ系
ぎざぎざの葉が特徴で香りは強め。四季咲き性で春から初夏、秋にも楽しめる。暑さと乾燥には強い方だが、寒さと梅雨時期の多湿には弱い;ラベンダー・デンタータなど
・スパイカ系
茎の先が複数に分かれ尖った穂のように花をつける。暑さには割と強い。すっきりとした強めの香り;ラベンダー・メルローなど
ガーデンパーティでもラベンダーの苗を取り扱っていますので、植えてみたいなと思われた方はこちらのページもご覧ください。
ラベンダーの基本情報
名前 | ラベンダー(ラヴェンダー) |
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学名 | Lavandula |
科・属名 | シソ科・ラヴァンドラ属(ラベンダー属) |
英名 | Lavender、English lavender、True lavender |
和名 | 薫衣草(くんいそう) |
分類 | 常緑性の低木 |
開花時期 | 5月から7月(品種により異なります) |
お勧め植え付け時期 | 3月から4月、10月 |
販売時期 | ほぼ周年 ※メインの販売は2月上旬~5月中旬、10月上旬~11月中旬 |
原産地 | 地中海沿岸、インド、カナリア諸島 |
耐暑性 | 普通(品種により異なる) |
耐寒性 | 普通(品種により異なる) |
ラベンダーの栽培カレンダー
ラベンダーの基本的な育て方
植え付け
系統にもよりますが、基本的には春または初秋に植え付けます。アングスティフォリア系やラバンディン系は、秋に植え付けるのがおすすめです。
庭植えの場合、植え付けの2週間ぐらいまえから土づくりをします。土に堆肥や腐葉土を2割、パーライトや日向土を1割混ぜ込みます。酸性土壌を嫌うので苦土石灰やもみ殻くん炭なども加えてなじませてアルカリ性に土にしておきます。高温多湿に弱い系統のものを庭植えする場合は、水はけがよく西日が当たらない場所へ植え付けます。
鉢植えの場合は、市販のラベンダー用の土やハーブ用の土を使用するとよいでしょう。
庭植え・鉢植えのどちらの場合も、土を少し高めに盛っておくとよいです。
日当たり・置き場所
風通しがよく日光がよくあたる場所で育てるようにします。
水やり
土が乾いたらたっぷりと水をやります。葉がやわらかく下がってきた頃に水やりをします。
夏は過湿にならないよう注意しますが、開花中は水切れにならないよう気をつけます。
庭植えの場合は、植え付け後、根が張って根付くまでは、土が乾いていたら水やりをしますが、根付いたら雨水のみで基本的に水やりは不要です。晴天続きや猛暑の夏、土が乾燥している場合に、様子を見て水をやるようにします。
鉢植えの場合は、長雨が続くときなどは軒下などの屋根がある場所へ移動させておくのがよいです。
肥料
植え付け時には元肥を施します。庭植えの場合は、春に芽が伸びる時期、鉢植えは夏と冬以外の生育旺盛な時期に、追肥として緩効性の化成肥料を施します。
病気と害虫
ラベンダーそのものに防虫効果があるため、病害虫の被害はあまりありませんが、春先にアブラムシやハダニがつくことがあります。
アブラムシは見つけ次第、取り除きます。ハダニについては、霧吹きなどでこまめにスプレーし、風通しよく管理するとよいでしょう。薬剤を散布して予防するのもよいでしょう。
花穂の刈り取り(収穫)
花を収穫する場合、二分咲きから満開時の天気が良い日に、葉を4~8枚つけた状態で花を刈り取ります。花を収穫しない場合も、株の消耗を避けるため、早めに刈り取るのがよいです。
剪定・枝透かし
収穫時や花後に、草丈の半分ぐらいの高さのところで葉のついた茎は残しながら半球状に刈り取ります。植え付け後、数年経つと株が大きくなり茎が木のように硬くなります(木質化)。中のほうで込み合っている枝を間引いたり、垂れさがっている枝を整理したりして、風通しをよくします。剪定は新芽がつく時期をさけて(秋から春までに)毎年行います。
夏越し
夏は株が弱りやすくなる時期でもありますので、過湿にならないよう育てます。梅雨の時期は、鉢植えは軒先などの雨がかからない場所へ移動させますが、水切れにも注意します。
冬越し
寒さに弱い品種は鉢植えで育てて、冬の間は室内に取り込むとよいでしょう。日中は日当たりのよい窓辺に置いて日光に当て、夜は室内でも暖かい場所に移動させるのがよいでしょう。庭植えしたものは、土を腐葉土やバーク材、ビニールなどで覆って(マルチング)防霜対策をするのもおすすめです。
増やし方
秋も可能ですが、4月から5月ぐらいの時期に、挿し木で増やします。ラベンダーは2~3年も育てていると、株が古くなり新芽もつきにくくなりますので、挿し木をすることで株を新しく増やして(更新)いくのがおすすめです。枝先を10cmほど切り、1時間ぐらい水につけておきます。その後、清潔な土(市販の挿し木用の土がおすすめ)に、切り口の方を下にして挿します。
挿し木や挿し芽で増やした登録品種苗を、無断で人に譲ったり売ったりすることは「種苗法」という法律で禁止されています。増やした苗は人に譲ったりせず、自宅で楽しむだけにしましょう。
育て方のポイントまとめ
- 風通しがよく日光がよくあたる場所で育てるようにし、過湿にならないよう育てましょう。
- 剪定や枝透かし、花の収穫などにより、枝の風通しをよくしましょう。
- それぞれの系統に適した環境で育てるようにしましょう。